東北大学病院 腫瘍内科|東北大学大学院医学系研究科・医学部

各研究室の研究内容

1研の研究内容

我々の研究室では、抗がん薬シーズの活性の評価、作用機序解析、構造活性相関解析を行い、さらにはドラッグデリバリーシステムの技術を応用して、より効果的で副作用の少ない新規抗がん薬の開発研究に取り組んでいます。

また、抗菌薬や腸内細菌が抗がん剤の効果に与える影響についても研究を行っています。近年、腸内細菌叢ががん治療において重要な役割を果たすことが明らかになっており、その理解を深めることが治療法の革新につながると考えています。

加えて、マルチオミクス解析を用いてがん悪液質の改善を図るための新たな介入方法の開発にも着手しています。

これらの研究により、安全性を確保しつつ副作用軽減を目指した患者に優しい新たな治療選択肢を提供することを目標としています。

2研の研究内容

1. BRAF変異がんに対する新規分子標的治療開発

BRAF遺伝子、多くの癌腫で変異が見られる重要ながん遺伝子の1つです。特に、BRAF変異型大腸がんは予後不良であり、新たな治療戦略が求められています。我々は、新規治療の開発を目的に、BRAFを標的とした分子標的治療の効果を増強するあるいは分子標的治療への耐性を克服するような、新規標的遺伝子やその遺伝子産物を阻害する化合物を探索しています。

2. 希少がんや希少分子サブタイプがんの個別化治療開発

希少がんや希少分子サブタイプがんは個々の症例数が少なく、その遺伝的特徴や患者予後、治療効果に関する知見が限られ、有効な治療も限られています。我々は、それらへのより効果的な治療の開発を目的とし、大規模ゲノムデータを活用し、がんにおける遺伝子変異の特性とその患者予後や治療反応性に与える影響を解析しています。例えば、虫垂がんの解析では、特定の遺伝子異常が予後不良や治療抵抗性と関連する可能性を明らかにしました。また、高頻度マイクロサテライト不安定性がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性に関わる分子学的・臨床的因子の解析も進行中です。

5研の研究内容

私たちの研究室では、当科が掲げる「Bed sideからBenchへ、BenchからBedsideへ」の理念のもと、主に大腸癌のエピジェネティクス異常、特にDNAメチル化異常に着目した橋渡し研究(トランスレーショナル・リサーチ)に取り組んでいます。臨床検体や大規模データベースを活用し、臨床情報とメチローム、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームおよびメタボロームを統合したマルチオミクス解析により新規バイオマーカーの創出・新規治療戦略の開発を目指します。
まだまだ未成熟な3人ですが、互いにアイデアを出し合い、新しい解析手法にも積極的に挑戦しておりますので、一緒に楽しく情熱的に研究に取り組んでくれる方をお待ちしています!

6研の研究内容

がんは依然として多くの人々の生命を脅かす疾患であり、その克服には基礎研究と臨床応用をつなぐ革新的なアプローチが不可欠です。当研究室では、次世代の抗悪性腫瘍治療の開発を目指し、臨床現場での課題を基にした実践的な研究を展開しています。

豊富なリソースとデータを活用し、腫瘍微小環境や免疫療法に焦点を当て、がんの発生メカニズムの解明、予防・早期発見・治療成績の向上、さらにはQOLの改善まで、幅広いテーマに取り組んでいます。

また、異分野との共同研究を積極的に推進し、がん治療の新たな可能性を探求しています。最新の技術を取り入れた分子標的治療や個別化医療の発展にも注力し、次世代の治療戦略を提案することを目指しています。研究を通じて、がん医療の未来を切り拓くことに貢献していきます。